中小企業の粉飾決算を見分ける方法が書かれた本ですが、どのような観点から中小企業の決算書が作成されているのかよく分かりました。

あとがきより。

「ほとんどの中小企業は、経営者一族が得をするように、会社経営を行っています。

ですから、今まで見てきたように、財務分析に中心的な目的である収益力の判断についても、中小企業と経営者一族を合わせて収益力を把握することが不可欠です。

中小企業における決算書は、法人税や所得税等を合わせた納税負担等がより軽く済むような観点で、役員報酬や経営者一族に対する地代家賃等を決定しながら、その結果として当期純利益を確定させる傾向にあります。」

税理士試験の法人税を勉強したことがありますが、このような観点で中小企業が経営されているとは思いもしませんでした。ですので非常に興味深く、そして楽しく読むことができました。そして法人のうち、7割が赤字法人の理由も分かった気がします。

金融機関の融資担当者向けに書かれた本ですが、税理士試験の受験生にもお勧めです。無味乾燥な理論暗記や計算問題が面白おかしい、いきいきとしたものに見えるかもしれません。