リワークの読書課題として読んだ本から、ストロークに関する部分を抜き書きしたものです。交流分析が初めてという場合は「交流分析のすすめ」、ゲームについては「あなたが演じるゲームと脚本」がお勧めです。
元ネタ
あなたが演じるゲームと脚本―交流分析で探る心のうら・おもて
著者:杉田 峰康
販売元:チーム医療
(2004-09-30)
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交流分析のすすめ―人間関係に悩むあなたへ (日文選書)
著者:杉田 峰康
販売元:日本文化科学社
(1990-11-01)
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目次
- 言葉の定義
- 人間はなぜ、人を求め、コミュニケーション(交流)したがるのか
- 負のストロークの法則
- 人間の「わかってほしい!」心理
言葉の定義
『愛』
精神分析では「相手のために、相手本位に時間を与えること」と定義されている。
精神分析では「相手のために、相手本位に時間を与えること」と定義されている。
『交流』
コミュニケーションのこと。交流分析ではコミュニケーションのことを「交流」と呼ぶ。
『ゲーム』
繰り返し人間関係をこじらせたり、結果的に不快な感情をもって終わる行動パターン。遊びの意味のゲームではない。
例「はい、でも」・・・相手に解決策を求めておきながら、それを示されると一つ一つ反論して、どれも実践することを拒み、最終的に相手に無力感を味わわせようとするもの。問題の解決ではなく、相手を打ち負かすことが目的(本人の意識・無意識に関係なく)。
『ストローク』
もともとは「なでる、さする」など、体を愛撫する意味の言葉。これに精神的な意味を加え、言葉でほめたり目で同意を示すといった動作や、「私はあなたがそこにいるのに気づいてますよ」「あなたは、かけがいのない大事な人ですよ」と、相手の存在や価値を認めるような様々な刺激をいう。ストロークには大きく分けて3種類ある。
「スキンシップ」
子供を抱きしめたり、なでたり、握手、肩を叩き合うなど。身体的接触という意味で、性行為も含まれる。
子供を抱きしめたり、なでたり、握手、肩を叩き合うなど。身体的接触という意味で、性行為も含まれる。
「言葉によるストローク」
相手に挨拶をしたり、話しかけたりして、その存在を認める。ほめる、励ますなども含まれる。
相手に挨拶をしたり、話しかけたりして、その存在を認める。ほめる、励ますなども含まれる。
「身体的接触や言葉を用いない方法」
まなざし、うまずきなどで相手の存在を認める。何も言わずに、じっくり相手の話に耳を傾けることも、十分なストロークになる。
まなざし、うまずきなどで相手の存在を認める。何も言わずに、じっくり相手の話に耳を傾けることも、十分なストロークになる。
人間はなぜ、人を求め、コミュニケーション(交流)したがるのか
それはストロークを交換するため。言い換えれば、自分本位の時間を与えられず、十分にストロークをもらえない人間は、うまく人生を歩めないといってよい。ストロークが不足すると、ゲーム(不快な感情で終わる行動パターン)を演じることが多くなり、一見奇怪な行動をとることがある。
ストロークの内容によって、以下のように分けることができる。
・肯定的ストロークと否定的ストローク
肯定的ストロークあるいは陽性のストロークは、それをもらうと良い気持ちになるものをいう。「私は大事にされている」「私は価値のある人間と認められている」という喜びや自信を感じ、成長に役立つストローク。
否定的ストロークあるいは陰性のストロークは、それをもらうと嫌な気持ちになるもの。「私は嫌われている」「私の価値は認められていない」など、憂うつや自信喪失をもたらすマイナスのストローク。罵言雑言や体罰なども、この種のストロークに含まれる。
・条件付きストロークと無条件のストローク
条件付きストロークは、何らかの条件を満たしてようやくストロークが得られるもの。百点をとったからほめられるといった、行為や価値と引換に与えられるストローク。
- 君は人一倍働くから気に入ったよ。
- なんでもいわれた通りにするお前はいい奴だ。
- あなたはお酒を飲むから嫌いよ。
- 君はだらしないからダメだよ。
- 君はきれいな人だ。だから好きなんだ。
無条件のストロークは、相手の人格と存在そのものに与えられるもの。お返しや条件は一切つかない。無償のもの、絶対的なもののため、インパクトも大きい。
- あなたがいるだけで、私たちは幸せなのです。
- 背が低かろうが、学歴がなかろうが関係ない。私には君が大事な人なのです。
- 別にあなたのどこが嫌いというのではありません。存在自体が嫌なのです。
- お前みたいな奴は生まれてこなければよかったんだ。
条件付きの肯定的ストロークには、何らかの価値判断が裏に潜んでいて、お返しが期待されている。子供も行動や努力を一貫して、適切にほめるのであれば、よいしつけの方法になる。しかし場合によっては人間関係を悪くすることもある。
負のストロークの法則
人は肯定的なストロークを欲しがるが、これを十分に得られない場合は、否定的ストロークを求めて行動する。「ないよりマシ」「背に腹は代えられない」。
また条件付きのストロークは、しつけや社会化にとって欠かせないものだが、これだけを与えられ続けると、自分は真のストロークを受けるに値しない人間だと感じるようになる。常に他人の価値評価に左右され、本来の自分のあり方を見つけられなくなる。
ストローク経済の法則というのがあり、「貧しい者はさらに貧しくなり、富める者はますます富を増す」というもの。銀行預金に例えることができ、他人と交換するストロークは、当然収支があり、プラスの肯定的ストロークを与えすぎて預金高が底をつくと、疲労感や憂うつな状態に駆られ、閉鎖的になる。与えることをやめてしまうので、見返りとしての肯定的ストロークが入ってこなくなる。子育てに疲れ果てた母親が家に閉じこもってしまう状態。反対にストロークの蓄えが75〜80%以上あれば、活き活きとして楽しい気分でいられる。「私は愛されている。私は大事な存在だ。」という気持ちのストックがあるため、事にあたるとうまくいく場合が多く、その結果、さらに自信を増す。そして他人から認められる機会も多くなり、さらに預金が増える。
ゲームは肯定的ストロークが不足しているため、否定的ストロークでそれを補うことが習慣になってしまった人によって演じられる行動。したがって、ゲームをやめる最も基本的な方法は、相手に対してもっと肯定的ストロークを増やすこと。
今の生活の中で、十分なストロークを得て、より豊かな人間関係を作るには、肯定的なストロークを交換し、自分のストロークを赤字にしないこと。具体的には以下のことを行う。
1.与えるべきストロークがあったら、それを他人に与えること。
ストロークの出し惜しみをしないこと。身近な人に、身体、言葉、非言語の三種類のストロークを沢山与えるプランを練ること。
- 奥さんに対して「その服、似合うよ」「今日の料理はおいしいね」
- 子どもと一緒に遊ぶ
- 同僚の話を聞いてあげる
- 妻(夫)に小さなプレゼントをする
2.欲しいストロークがあったら、それを相手に要求すること
「欲しくても、それを求めるのははしたないことだ」と考えてしまうが、求めないのに相手が期待に応じないと勝手に恨むのは、もっと不健康なこと。求めて断られるのを恐れたり、求めるのを遠慮するのは、幼児から身についた古い感情生活の習性。自分の中のとんちを使って、賢く楽しく要求する。
- 「どう、この服、似合うかしら」「来週の水曜日は、私達の結婚記念日ですわね」といってみる
- 身近な人を何人か選び、その人から与えて欲しいストロークを具体的に書き出し、自分の中のとんちと相談して、どうやってその要求を相手に伝えるか、いろいろと工夫をしてみる。
3.欲しいと思っているストロークは受ける
日本人は謙遜というものを美徳とするが、ほめられても弁解したり、自分を軽蔑したり、卑下したりするのをやめて、欧米人によく見られるように、肯定的ストロークをもらったら「ありがとう」「そうおっしゃっていただくと嬉しいです」「あなたにそう言われると元気が出ます」と上手に受け取り、いい気持ちになること。
4.欲しくないストロークは上手に断る
これまで身近な人々から何か言われて、嫌な気持ちになった体験を思い起こす。また自分に与えられる否定的ストロークのうちで、特に嫌いなものをリストアップしてみる。
- お前は何の取り柄もない人間だ。
- 君は常識が足りないなあ。
- どうせまたミスをするでしょうけどね。
- その服には、そのネクタイは全然似合いませんよ。センスが悪いなあ。
このような否定的なストロークには、こちらを陥れようという意図が隠されているので、冷静に受け止めることが肝心。自分の嫌いな否定的ストロークを断る方法を考える。あくまで中立的な立場を守り、静かに事実を確かめるようにする。
- 君にはそう見えるんだね。
- あなたはそう思うのね。
- なるほど、そうかもしれない。じゃ、どこがおかしいのかな。
- あなたにはそう映るんですね。では私はどうすればいいのかな。
否定的なストロークが来たとき、それをまともに受けて、売り言葉に買い言葉になるケンカ(ゲーム)をしたり、一人、部屋の壁に向かってじっと悔しがるといった反応をするのは、望ましいものではない。
5.ストロークが不足したら、自分で自分によいストロークを与えること
自分についてほめていい点、これまでの成功体験、その他何でも肯定的なことをリストアップする。それを鏡の中の自分に向かって読み上げる。そして「はい、その通りです」と受け入れて、いい気分になる。自分をいたわり、ねぎらうプログラムを作る。
- 心身障害児の母親は、月に一度、子供の世話をヘルパーに任せ、自分は一日ゆっくり旅行をしたり、ホテルで過ごしている。これが来たるひと月のエネルギーの供給源になる。
自分のストローク銀行を常によい状態に保ち、他人に惜しみなくストロークを与え、かつ自分も満たされる。これが健全な人間関係のあり方ではないか。
人間の「わかってほしい!」心理
- 愛は、相手のために、相手本位に時間を与えること(T.ブラトエー)
- 人間のもっとも耐え難い苦痛は飢餓でもなければ伝染病でもない。孤独感である(マザー・テレサ)
- この世の中は厳しい。しかしこの世でたった一人でも『受け入れてくれる人』がいれば、また頑張って生きてゆけるものだ(カール・ロジャース)
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